伊良部秀輝が42歳で首吊り自殺をした。高校卒業時にドラフト1位でロッテに入団し、以後ロッテで8年、ヤンキースで3年、エクスポスで2年、レンジャースで1年、阪神で2年のプロ生活をおくっている。ドラフト指名時から、スポーツ紙で無頼の男と書かれていたのを覚えている。メジャー移籍で、ロッテはパドレスに伊良部をトレードしたが、伊良部はヤンキースで無ければいやだと言い張り、パドレスからヤンキースへの三角トレードでメジャーデビューをする。実力があるうちは周囲も我儘を容認する感じだった。引退後はうどんやチェーンを失敗し、バーで乱闘騒ぎを起こすなど転落の色がこかった。人間は、得をして得る喜びよりも損をして得る悲しみのほうが大きいので、確率的には不利でも損を避ける行動を選ぶ傾向があるという。同じ境遇でも、栄光から転落した者にはつらさとなり、どん底から這い上がったものには喜びとなる。伊良部は精神科に通院までしており、思うようにいかなくなった人生を耐えていくだけの忍耐力に欠けていたのだろう。