今後国家財政を破綻させる最も大きな要因は、年金および医療費と言われている。人口高齢化が先進国で最も早く進む日本は、この問題を避けることは国家破綻につながる。日本の年金制度は、現役の払込金を高齢者の支給に回す賦課制度だ。この制度は、労働人口の継続的増加と、継続的インフレを前提にしている。労働人口が増加し、インフレで賃金が上がれば、払込金は支給額を上回るという考えである。現在のように、若年労働人口が減少し、非正規雇用が増加して賃金が減少するため、税収が減少し、高齢人口の急増で年金支払い額が増加している状態では成立不可能である。無い袖はふれないので、税収増加と支給削減しか手は無い。債務不履行で騒がれているギリシャは、労働者の3割が公務員で、年金は55歳から現役手取り収入の8割が支給される。当然国家財政は破綻し、支給年齢が65歳以上であるドイツ国民はギリシャ支援に反対するのである。日本でも今後支給年齢が引き上げられ、支給額が減らされるほど、あとの世代ほど確実に不公平を被ることになる。解決策としては、一般に称えられるインフレターゲットは、年金物価スライド制が適用されるので効果が無い。年をとっても、低賃金でも、生涯働くしか対策は無いと思う。