ブラッド・ピット主演で映画化されたマイケル・ルイス著「マネーボール」は、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ジーンによる低予算で好成績をあげるチーム改造法を描いている。先入観を排除して、徹底的にデーターを分析し、打者では打率より出塁率、本塁打数より長打率を重視し、打点は重視しない。また守備、走塁も重視しない。バント、盗塁、エンドランはアウトを増やすだけとみなす。投手でもストッパーは簡単に養成できるので、育ったらトレードに出してしまう。ドラフトでは高校生は大学生に比べて成功率が低いので、指名を避ける。(本では、ジーンは高校生フィルダーやアップトンを低評価してるが、現実には大きな魚を逃すことになる。)選手が育ったら給料が大幅アップする直前にトレードに出し、当分薄給で使える複数の若手有望株と交換する。フリーエージェント選手は引き止めず、獲得球団から見返りにドラフト1位指名権をもらう。これらはビル・ジェームスのアイデアをジーンが発展させたものである。2000年初期はうまくいっていたが、他球団も似たようなことをやりだしたので、近年のアスレチックスは低迷している。お株を奪ったのは、1998年チーム創設のタンパベイ・レイズである。ニューヨーク・ヤンキース、ボストン・レッドソックスの2強が所属するアメリカン・リーグ東地区で、地区優勝争いの常連となっている。売りは強力若手投手陣でシールズ、プライス、ヘリクソン、
ニーマンに、ダルビッシュの新人王ライバル左腕ムーアが加わる。打線もロンゴリア、ゾブリストに若手のジェニングスが加わる。現在もっとも安い予算で最も強いチームである。